健診が公益?公益認定取得奮闘記!
2009年7月15日

公益総研 非営利法人総合研究所
主席研究員兼CEO 福島 達也

 

最近、ちょこちょこと公益認定も一般認可も増えているが、まだこれから検討するという法人もあるくらい申請は少ない。

こんなスロースタートでは、最後の法人が移行するのはいつになるのだろうか。

当初の私の予想だと、2万5千のうち5千法人は解散又は合併により消滅すると予想していたが、どうやらそれをはるかに凌ぐ数の法人が消滅しそうだ。
恐らく8千法人程度が消滅するのではないだろうか。そのくらい申請の数が少ない。



そんな中、当社も3月から、やっと顧問先の公益認定や一般認可の取得に成功し、両申請のノウハウは何となくわかった気がする。

ただ、もっとわかったことは、「申請はものすごく大変だ」ということ。

有識者の中には、公益認定申請は思ったより簡単であるようなことを言っている人もいるが、そういう法人というのは、例外中の例外。つまり、特別の法人であることが多い。

特に手厚い保護のないような普通の公益法人はみんなものすごく苦労していることを知らないのだろうか?

聞いたところによると、解禁日の12月1日に申請をした法人の中には、7月の半ばになろうとしているのに、まだ補正も終わっていないという法人もあるようだ。

申請から半年以内で認定というのはもはや理想になりつつある。



ただ、朗報もある。

まず公益性がないと言われ続けていた医療分野で初めての認定が下りたのだ。

それが私の公益認定第1号でもあるのだが・・・。



実は、それは健診事業を中心とする法人なのだが、当初診療事業と同じで公益目的事業にならないと言われていた。
しかし、国の政策が「介護」より「予防」に移り、予防医学の重要性がこれほど叫ばれている中、それを予見できる重要な仕事なのだから公益性がないはずはないということで「公益認定」の道を選び、昨年の12月に申請を行った。

目標の年度内認定は逃したが、医療分野における公益性が初めて認められ、何とか公益認定の取得に至ったのだ。

しかし、だからと言って同じような事業をしている法人がすべて認定されるということはないだろう。

なぜなら、公益目的事業であるかないかの決め手は、法人名や事業名ではなく、その事業を行う法人の理念、体制、手法、市民性、それらすべてが間違いなく公益の増進につながると理解されて初めて、一つの事業の公益性が認められるという、大変地道な努力が必要だからなのである。

だから、申請団体は、認定を得るまで行政庁とのやり取りを相当数こなす必要があり、とてもではないが「意外に簡単」などと口が裂けても言えない。



法人にとっては「天下分け目の決戦」くらいの覚悟が必要だ。
聞くところによると、申請が終わったころに申請担当者が疲労で入院という法人も出てくる始末である。
申請担当者の健康にも十分留意してほしい。



では、苦労しないために何が必要だろう。

まず、公益法人か一般法人か、法人の活動状況や組織運営上から、十分検討に時間をかけることであろう。

「どこかの団体が公益認定されたからうちも公益」・・とか、「理事長の鶴の一声でとにかく公益・・」などということのないよう、自分たちの公益性をきちんと精査の上、公益法人に移行できる条件がそろっているのかを研究し、それで大丈夫なら、さらに両方に移行する場合のシミュレーションをして、その結果自分たちの法人は何が変わるのかを具体的にあげてみて、そこで初めてどちらがより自分たちの活動にプラスになるのかを判断するべきである。

つまり、公益か一般かという決断はすべての作業が終了した後に決まってくるのであって、最初に決めることではないということだ。
だから判断に相当の時間をかけるべきなのだ。

もちろん、少しは急いだ方がよいが、だからと言って焦ると判断を誤る結果になるだろうから、その判断に時間もお金もかけて、判断が下れば後はどんどん進めていくとよいだろう。



残り4年と4ヶ月。長いようで短いかもしれない。

儲けを重視しないで社会のために活動する公益法人。
私は、そんな公益法人に惚れて、この道を選んだのだ。

その大好きな公益法人の皆様が、最も良い判断をして確実に移行できるよう、これからもエンジン全開で臨みたい。

公益総研株式会社 非営利法人総合研究所

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